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えっ、再建築不可ってそりゃないですよ…~道路を知れば土地を見る目が変わる!~
一昨日、地元の六月燈の練習で、初めてソーラン節の練習をしました。
2日経った今でも、
太ももの使ったことのない部分が筋肉痛で悲鳴をあげております。
金八先生のソーラン節しか見たことがなかったのですが、
意外と体力を使いますね。
ビリーズブートキャンプ並にキツかったです。
「再建築不可物件」
なんていう言葉を皆さんも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?
とてつもなくデンジャラスな雰囲気が漂っている言葉じゃないですか?
「再建築不可物件」というのは、
建物を壊して更地にした時に、
再び建築することができない物件のことです。
「………。」
「いやいや、そんなこと文字をみれば誰でも分かりますよ、今村さん!」
というツッコミが聞こえてきそうですね。
「再建築不可物件」は建築基準法などの法令上の制限の結果生じます。
原因は敷地の地形や、接面道路の状況によるものです。
再建築不可物件のほとんどが、
後者の接面道路の状況によって、再建築ができなくなっています。
建築基準法の第43条にはこう記されています。
~建築物の敷地は、建築基準法上の道路に2m以上接しなければならない~
(原則あるところに例外あり、
ということで特別に許可がでれば大丈夫のケースもありますが、
今回は考えないことにします。)
イメージとしてはこのような感じです。
ではなぜ、このような規定ができたのでしょうか。
理由は、災害対策です。
火事などが起こった時に、
避難や救護活動のために最低でも2mは通路がなければならないのです。
ポイントは以下の2つ
①敷地が2m以上の道路に接面しているかどうか。
②敷地が接面している道路は、建築基準法上の道路であるかどうか。
ちなみに2mというこの幅はどのくらいでしょうか?
車幅で考えると、トヨタのクラウンが1.8mあります。
つまり、クラウンのような乗用車が通れないような間口の敷地は、
「再建築不可物件」となってしまいます。
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ところで、間口ってどこなの?
不動産のHPなどで、土地の表記でよくあるのが、
「南側が幅員6mの公道に12m接しています。」というような文章。
6m→道路の道幅、
12m→接道している間口を示しているのです!
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では②の建築基準法上の道路ってなんなのでしょうか?
建築基準法上では防災上等の観点から、
道路の幅員は原則として4m以上とすべきと定めています。
道路を簡単に分類すると以下の3つになります。
①昔からある道路で、幅員4m以上のもの
②昔からある道路だが、幅員が4m未満のもの
(42条2項道路と言われ、「みなし道路」と呼ぶこともあります)
③近年、設置された道路で幅員4m以上の道路で、
特定行政庁の位置の指定を受けたもの
(「位置指定道路」などがあります。)
なお、道路の幅には側溝も含むことになります。
①については特に問題がないので、
②のみなし道路から行きましょう。
建築基準法では、道路は幅員4m以上なくてはならないと定めましたが、
それ以前からある大量の幅員4m未満の道路の存在を否定してしまうことは、
非現実的でした。
そのため幅員4m未満の道路も半人前の道路とみなすことにしました。
(※原則1.8m以上の幅員は必要)
このため42条2項道路を「みなし道路」と呼びます。
トヨタのクラウンが車幅1.8mなので、
道路幅が4mあれば、対向車とすれ違うことが可能ですよね。
つまり、車と車がすれ違うのが困難な道路はほとんどがこの「みなし道路」なのです。
「この半人前のみなし道路をなんとかせねば、安心して車で出かけることもできない」
ということから「セットバック」という仕組みを使って、
道幅を4mにしようということになっています。
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ところで、セットバックってなに?
セットバックとは、
敷地と道路の境界線を、道路中心線から2m離れたところとみなすことです。
上記の敷地では前面道路の幅員が3mとなっていて、
幅員4m未満のみなし道路となっています。
この敷地を購入し、建物を建築するとき、
もしくは、元々の所有者が建物を取り壊し再築する際には、
道路境界線(中心から2mの位置)まで敷地を後退させなくてはなりません。
幅員3mの道路の中心線から、
現状の道路境界線までの距離は1.5mしか離れていないため、
道路中心線から2m後退するために、
赤で囲まれた部分の0.5m分の細長い敷地は、
道路のために没収されるのです。
この際に補償金などはでないため、セットバックされる部分は、
「はじめからないものとして考えましょうね」
という感じで取り扱われます。
「今日から4m未満の道路は原則道路じゃないから、
君たちはなんとかして解決しなさい」
(これは僕の個人的なイメージですが)
という無理難題をどこかの偉い人から言われ、
行政の方は考えました。
図の敷地の反対側の敷地も同じようにセットバックが必要なので、
建物を新しく建築するときにみんながセットバックをすれば、
向こう十数年で快適な4m道路になるだろう、と。
では、みなし道路の反対側が川や崖などで、
反対側がセットバックできないときはどうなるのでしょうか。
その時には道路の反対側から4mになるように後退しなくてはなりません。
先ほどの例で考えると0.5mではなく1mのセットバックが必要となるので注意が必要です。
では、セットバックのパターンをいくつか見てみましょう。
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パターン①
一方だけ、みなし道路に接道しているので、図のようにセットバックします。
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パターン②
角地となっていて、二方向にみなし道路があるため、図のようにセットバックします。
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パターン③
3方向ともみなし道路に囲まれているため、図のようにセットバックします。
図を見てわかる通り、
3方向とも囲まれていたらかなり面積が減ってしまいます…。
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最後に③の位置指定道路について考えてみましょう。
上記のような宅地を考えてみます。
左の標準的な敷地に比べかなり面積が広いですよね。
でっかい宅地を一人で購入し、家を建てようとすると
敷地が広すぎてしまい、単価も高くなってしまいます。
その敷地を標準的な大きさに分けるとこうなります。
このようにでっかい敷地の真ん中に道路を設けることで、
6つの標準的な宅地ができ、有効に土地を活用できます。
この新しく設けられた道路は、役所の検査を受け、
「道路としての位置の指定」を受ける必要があります。
こうして位置指定道路が作られます。
ちなみにこの位置指定道路には「すみ切り」を設けるなどの一定の要件が必要です。
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おまけの知識!
旗状の敷地が出来るわけ。
街を歩くとこのような敷地をよく見かけませんか?
このような敷地はなぜできるのでしょうか。
もとの敷地はこんな感じです。
1つだけでは敷地面積が広いので2つに分割しようとします。
これだと間口が狭すぎて、建物を建てにくいです。
これだと奥の方の敷地が道路に接していないので、土地が死んでしまいます。
これだと手前の土地も家を建てられるし、奥の土地もちゃんと使えます。
そのためこのような旗状の土地が生まれます。
不動産業界の人や建築関係のお仕事に就いている人には当たり前のこの話。
ちょっとでも知識があれば役立つこともあるのではないのでしょうか。
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